
潤滑剤としてバイクにグリースが必要なのはわかるけど、種類が多くてどこに何を使えばいいかわからないなぁ。
バイクの整備作業をしていて、グリースが必要な場面はたくさんあります。だけど、どこにどれを使えばいいか分かりづらいですよね。
わたしもよくわからなかったので、グリースについて調べました。
この記事を読むと、バイクに必要なグリースの種類が分かります。
わたしも、用途別に何種類かグリースを購入して使用しています。
整備作業に必須アイテムのグリース5つについて解説します。
グリースとは
グリースとは潤滑剤の一種です。
油よりも粘り気があり、常温では半固体の状態です。
ハンドクリームのような状態をイメージしてもらえるといいかと思います。
オイルのように流れ出てはこまるところによく使われます。
例えば、ベアリングやバイクのステップの駆動部などです。
グリースについて日本工業規格では次のように用語が定義されてます。
3.1
グリース(grease)
原料基油中に増ちょう剤を分散して半固体又は固体状にしたもの。特殊な性質を与える他の成分が含まれる場合もある。
日本工業規格 序文 3 用語及び定義
基油とは、グリースの基となるオイル(油)のことで、鉱油と合成油に大別されます。
鉱油は低性能だけど安価。鉱物油は高価だけど高性能という傾向にあります。
増ちょう剤とは、さらさらな基油を半固体状にする性質のもので、基油の中に分散します。
網目のような構造をしていて、ここに基油が入り保持されて半固体状になります。
ちょうどスポンジに水を含ませると流れ出ずに保持することと似ています。
あとは目的に応じた添加剤を加えてグリースが出来上がります。
バイクでよく使うグリース
バイクでよく使うグリースとしては下記のものがあげられます。
- マルチパーパスグリス(ウレアグリス・リチウムグリス)
- モリブデングリス
- シリコングリス
- チェーングリス
- カッパーグリス
- 【番外】スプレーグリス
それぞれ特徴がことなるので、用途に合わせて使い分けましょう。
各グリスについて詳しく書いていきます。
マルチパーパスグリス(ウレアグリス・リチウムグリス)
横文字だとすごいグリスに聞こえますが、日本名にすると『万能グリス』です。
もっとも一般的で入手しやすいです。
耐水性・耐熱性・潤滑性ともにすぐれています。
ただし、ゴム製品や樹脂にたいして使用すると劣化させることが欠点です。
よって、これらへの使用は避けてください。
ちなみに、リチウムグリスとウレアグリスの用途は同じですが、ウレアグリスのほうが耐久性に優れてます。
モリブデングリス
モリブデングリスはモリブデンの粉が混ぜ合わされたグリスのことです。
グリスの油がながれでても、モリブデンの粉が残り潤滑作用を持たれしてくれます。
金属同士が潤滑するなど強い負荷がかかる場所に用いられます。
ただし、ゴムなどの柔らかい素材につかうと、モリブデンの粉によりゴムのほうが負けてしまうので使用は避けてください。
また、ネジの焼き付き防止作用があるので、高温下にさらされる場所のネジに塗布してやると効果的です。
例えば、マフラーの取り付けボルトなどです。
シリコングリス
プラスチックやゴムなどの潤滑に適しています。
その一方で、金属同士の潤滑には不向きです。
シリコングリスは耐熱・耐寒にとても優れています。
製品のよって多少の違いはありますが、おおむね-50℃~250℃程度の適応範囲があります。
以上のような性質から、ブレーキまわりによく使用されます。
ゴムパッキンを圧入する際などにもおすすめです。
チェーングリス
チェーン専用グリスです。
チェーンには大きく2種類ノンシールチェーンとシールチェーンがあります。
シールチェーンとは、チェーンの駆動部にグリスをパッキンで封入したもです。
性能などについて詳しくは割愛しますが、ノンシールチェーンの耐久性を高めたものと考えればいいです。
パッキンはゴムなので、チェーングリスもこれにあわせて、ノンシールチェーン用かシールチェーン用かを選ぶ必要があります。
グリスによってはゴムを痛める可能性があるからです。
よくわからない、迷ったという場合、シールチェーン用のチェーングリスを選べばいいと思います。
それから、チェーングリスを選ぶときのポイントとして、どれくらい走行中に飛散するかを考えるといいです。
物によっては結構タイヤのホイールが汚れます。
わたしはかなりホイールが汚れていたのですが、チェーングリスを変えてから汚れにくくなりました。
カッパーグリス
ブレーキの鳴き止めとしてよく使われるグリスです。
ブレーキパッドの裏面に塗って使います。
耐熱性にも優れていて、ボルトの焼き付き防止としても使われます。
さらに、ボルトの締付トルクを一定にする作用もあるので、シビアな管理が必要なところに塗ってあげると整備精度があがります。
ほかのグリスとくらべると値段はすこしお高めです。
【番外】缶スプレーグリス
ここまで説明して何ですが、私がいちばんつかっているのは缶スプレー式のグリスです。
若干さらさらなのが気になりますが、ウレア系のグリスで使用温度は-20~180℃ど広範囲をカバーしてくれます。
なんといっても缶スプレーなので手を汚さず簡単にグリスアップすることができます。
細いノズルがついてることも高ポイントで、細かなところもグリスアップしやすいです。
通常のグリスだと、指にとって塗りつけるため、使用後は手を洗うなどの面倒があります。
手洗いから解放されるのは結構インパクト大で、グリスアップをこまめにやる気にさせてくれます。
はっきりいっておすすめです。
まとめ
バイクでよく使うグリスは5つ。
番外篇として缶スプレーグリス。
- マルチパーパスグリス:万能グリス
- モリブデングリス:焼き付き防止におすすめ。ゴムには×
- シリコングリス:プラスチックやゴムに○で金属にはいまいち。耐熱・耐寒に優れる
- チェーングリス:迷ったらシールチェーン用を選ぶ。飛散の具合もポイント
- カッパーグリス:ブレーキの鳴き止め
- 【番外】缶スプレーグリス:手が汚れず細かなとこまでグリスアップできておすすめ
グリスアップすることでバイクを長く健全に使用することができます。
グリスアップは定期的におこないましょう。
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